“Good Child’s Christmas Party”

小学校1年生の時に「よい子のクリスマス・パーティー」という子ども向けレコードを親に買ってもらった。白いレコード盤で、クラウン少女合唱団が歌うクリスマスの定番ソングが16曲入っていた。私はそれをとても気に入っていて、小学生のあいだ、ずっとそれしか聴かなかった。クリスマス時期だけではなく一年中、夏でも「もろびとこぞりて」とか聴いていた。カセットテープに録音して、夜寝る前にベッドの中で「アヴェ・マリア」をウォークマンで聴いて、感極まって涙を流したりした。まだそのレコードを持ってます。

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A boy at the bookshop

とても雰囲気が良くて、何時間でもいられそうな本屋さんを見つけた。家族でやっているお店で、レジにお母さんと小学生の息子らしき男の子がいた。男の子は白いニット帽と青いジャージ姿で、お客さんに「480円です」とか「ありがとうございました」とか、澄んだ高い声で丁寧に言っていた。ちょっと、映画『アバウト・ア・ボーイ』に出てくる男の子みたいに、ふんわりして風変わりな空気感があって、その子の周りだけ妙に小粋で映画的というか、1950年代か60年代の子どもが主人公のフランス映画みたいだった。写真を撮って後でスケッチブックに描きたくてたまらなかったけど、きっと嫌がられると思い撮らなかった。本屋さんを出た後しばらくして同じ通りにあるパン屋さんの前を通ったら、その男の子がお使いに来ているのが窓ガラス越しに見えた。そこでも、その男の子の存在が店を映画的に、ドラマティックにしていた。(男の子だと思い込んでいたけど、今思うとショートカットの女の子だった可能性もある)

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Phone booth at the New York Public Library

『“美しい瞬間”を生きる』(向田麻衣/著)を読んでいて、この一文にときめいた。

「高校生のときに始めた遊びは、海外に行ったときに、美術館や、図書館、駅などに設置されている公衆電話の番号をメモし、日本に帰ってから夜な夜なかけてみるというものだった。これは大人になってからも続けている、秘密の遊び。」

私もこの遊びをしたい!と思った。これを読んで真っ先に思い付いたのは、ニューヨーク公共図書館の前の公衆電話にかけてみるということだった。なぜかは分からないけど、「秘密の遊び」という言葉に反応して、昔読んだ『クローディアの秘密』という児童文学を思い出したからかもしれない。女の子が弟と家出をして、メトロポリタン美術館に隠れ住み、ミケランジェロの彫刻のミステリーを解く、という話なんだけど、ニューヨークと本つながりでニューヨーク公共図書館。その図書館の前に公衆電話があるのかどうかは知らない。行ったことがないので。しかも、たしかニューヨークは何年か前に公衆電話を全て撤去したのではなかったっけ?(今検索したら、タイムズ・スクエアの近くにあった最後の電話ボックスを撤去、という2022年の記事が出てきた) なので、そこに電話をかけることはできないが、ニューヨーク公共図書館の“中”には電話ボックスがあるという。写真を見ると、ノワール映画に出てきそうな古い木製のブースで、トレンチコートの衿を立てた男が受話器を握り、正体不明の相手と取り引きしているみたいな感じ。ここに日本から夜な夜な電話してみたい(真夜中にかけると、向こうは午前中だ)。

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Phone booth in front of the Tower of London

ロンドン塔の前の公衆電話に日本から電話をかけてみたい。亡霊が受話器を取ったりして。その亡霊は首をはねられて処刑された人なんだけど、頭がないから、ただ風の音だけが聞こえてくる。テムズ川の上を通ってくる、冷たい風が。

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Ghosts

『イタリアの魔力』(島村菜津/著)には、イタリア各地の幽霊話も出てくるが、幽霊の本場のように言われているイギリスの幽霊と比べて、イタリアの幽霊はどうなのか。どちらの幽霊たちも、音を出したり、“その部屋”に入ると妙な気分になったり、切り落とされた自分の首を持って出てきたり、壁に奇怪な染みを作ったり……あまり違いはないように感じる。イタリアの幽霊が特に陽気だとか、そういうことはないみたい。

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The underground river of the Roman Empire

『イタリアの魔力』(島村菜津/著)の地下の話が好きだ。ローマのサン・クレメンテ教会の地下には、古代ローマの邸宅を再利用した地下の教会があり、その下にはさらに2世紀のミトラ教の神殿跡があり、時代が層のようになっているという。最下層の床に耳をあてると、勢いよく水が流れる音がする。古代ローマ帝国の都を流れていた川の水位に相当するそうで、その音を聞いた途端「産毛の逆立つような感動の波が押し寄せた。自分はいま、永遠の都のふところに抱かれているのだ、と感じた」と著者が書いているのには私も感動した。古代ローマの音をたった今現実に聞いていて、川の流れを通じた時間を超えるつながりというものに対しての感動。

ちなみに、著者の島村菜津さんには今年の夏、初めてちょっとだけお話しする機会があり、この本『イタリアの魔力』にサインをいただいた。長年の愛読書の著者にお会いでき、また本の語り口そのままのとっても気さくな方で、こちらも大感動だった。

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Dark hole at Dennis Severs’ House

ロンドンのデニス・シヴァーズ・ハウスに入ると、1階正面の奥に瓦礫みたいな穴があって、その暗闇が怖かった。第二次世界大戦の空襲で壊れたままのような崩壊加減で、18世紀よりももっと古い、古代ローマの時代につながっているような真っ黒な空間だった。

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Mudlarking on the Thames

川を漁る行為、特にテムズ川でのそれを英語でMudlarkというらしい。ローマ時代のコインや何世紀かの陶器の破片など、考古学的に価値がある物からガラクタまで、様々な物が見つかるという。数百年前の誰かの落とし物を、泥という時間のトンネルをくぐり抜けて拾うことは、とてもロマンチックだ。潮が引いたテムズ川の泥を漁って、リチャード三世時代の遺物やヴィクトリア朝時代のガラクタを見つけたい!歴史のカケラを手に入れたい!今度ロンドンに行く機会があったら、絶対テムズ川でマッドラーキングしたい。というか、そのためにロンドンに行きたい。

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“Die Ringe des Saturn” W. G. Sebald (Flaubert saw the entire Sahara Desert in a grain of sand caught in Emma Bovary’s winter gown)

ギュスターヴ・フロベールの夢には、昼夜を問わず巨大な砂塵の雲がただよっていた、とジャニーンは「私」に語る。アフリカ大陸で立ち起こった砂塵の雲は、地中海からイベリア半島を通り過ぎ、ノルマンディーの田舎町に降り下りた。エマ・ボヴァリーの冬のガウンの裾にはさまった一粒の砂に、フロベールはサハラ砂漠全体を見ていた。

W・G・ゼーバルトの『土星の環』を読んでイメージした、読書メモ的な絵。

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Inspired by the songs by Bande Dessinée author Alfred

“MALTEMPO UNO”(イタリア語で「悪天候 1」)
YouTube “MALTEMPO UNO”

“NOTTURNO”(イタリア語で「夜」)
YouTube “NOTTURNO”

フランスのバンド・デシネ作家、アルフレッドさんの同名曲を聴いてイメージした絵。親切なことに、ご本人から小さな青いレコード(光に透かすときれいな青いマーブル模様が浮かび上がる)をいただいたので、それを何回も聴いたらイメージが膨らんだので描いてみました。16才の時に作ったそうで、当時ノートに書き付けておいたものを数年前に実家の屋根裏部屋で見つけ、レコーディングしたとのこと。イタリアを舞台にした新作本 “Maltempo”のプロモの一環として作ったという。アルフレッドさんはフランス人だが、イタリアに彼の家族のルーツがあり、イタリア語で歌われている。イタリア語というのは、日本人にとっても割と聞き取りやすい外国語だと思う。意味は分からなくてもカタカナ的にところどころ聞き取れるし、カタカナ的に発音も出来る。フランス語なんて知らなかったら全くお手上げだし。どうやってその音出すの状態。というわけで、私にもイタリア語の歌詞がところどころ聞き取れた。歌とか曲を聴いて絵にするのは楽しい作業だ。ちょっと抽象的なものを、私なりの解釈で具体的に目に見える形にするのが面白い。

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“Die Ringe des Saturn” W. G. Sebald (Joseph Conrad return to his father’s penal colony with his sick mother, seen off by his uncle and servants)

ジョゼフ・コンラッドの少年時代。タデウシュ伯父やほとんど目の見えない祖母、従姉妹、召使いや友人たちに見送られ、結核で病んだ母親とともに、父親のいる流刑地に戻る。

W・G・ゼーバルトの『土星の環』を読んでイメージした、読書メモ的な絵。

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Dogra Magra (27) (a novel by Kyusaku Yumeno in 1935)

『ドグラ・マグラ』夢野久作(27)

空前絶後の遺言書
―大正十五年十月十九日夜
―キチガイ博士手記

ヤアヤア。遠からん者は望遠鏡にて見当をつけい。近くんば寄って顕微鏡で覗いて見よ。吾こそは九州帝国大学精神病科教室に、キチガイ博士としてその名を得たる正木敬之とは吾が事也。今日しも満天下の常識屋どもの胆っ玉をデングリ返してくれんがために、突然の自殺を思い立ったるそのついでに、古今無類の遺言書を発表して、これを読む奴と、書いた奴のドチラが馬鹿か、気違いか、真剣の勝負を決すべく、一筆見参仕るもの……吾と思わん常識屋は、眉に唾して出で会い候え候え……。
……と書き出すには書き出してみたがサテ、一向に張合いがない。
……ない筈だ。吾輩は今、九大精神病学教室、本館階上教授室の、自分の卓子の前の、自分の廻転椅子に腰をかけて、ウイスキーの角瓶を手近に侍らして、万年筆を斜に構えながら西洋大判罫紙(フールスカップ)の数帖と睨めっくらをしている。頭の上の電気時計はタッタ今午後の十時をまわったばかり……横啣えをした葉巻からは、紫色の煙がユラリユラリ……なんの事はない、糞勉強のヘッポコ教授が、居残りで研究をしている恰好だ。トテモ明日の今頃には、お陀仏になっている人間とは思えないだろう。……アハハハ……。

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“Die Ringe des Saturn” W. G. Sebald (The man with a poor memory and only wearing mourning clothes replies with lines from King Lear)

喪服以外のものを着たことがなく、記憶力があまりないスクウィレル氏が、通りのむこうから〈リア王〉のセリフで返事をする。

W・G・ゼーバルトの『土星の環』を読んでイメージした、読書メモ的な絵。

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“Die Ringe des Saturn” W. G. Sebald (Algernon Swinburne with fiery red hair is one of Eton’s wonders)

以前、W・G・ゼーバルトの『土星の環』を読んで読書メモ的に描いた絵をもう少し描きこみ、20世紀初頭のイギリスの印刷物をカラーコピーして、アルファベットを抜きだしたものを貼る。

成長のどの過程においても常人より背が低く、ぎょっとするほど華奢、横にふくれた燃えるような赤髪で、薄緑に光る眼のアルジャーノン・スウィンバーンは、〈イートンの驚異のひとつ〉。

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Young police officers in “The Beatles: Get Back” (part 3)

パート3にはトーストは出てこなかったので、屋上コンサートを止めに来た若い警察官を選んだ。右の人が印象的だったので。頬の赤さがいかにも若そうだと思ったら、まだ19才だった。昨年72才になられたそうで、イギリスのインタビュー記事があった。Ray Daggさんという方で、当時はビートルズよりサイモン&ガーファンクルが好きだったとのこと。ピーター・ジャクソン監督のこのドキュメンタリー映画が公開されてから、世界中から手紙をもらうそうです(どういう内容の手紙だろう)。前からすごく謎なのは、どうしてイギリスの警察官は帽子の紐を顎の下ではなく、唇の下に持ってくるのか?だって外れそうだし、しゃべりずらそう。現にこの人も紐が何回も口の中に入っているし。

その後、現在のかぶり方を検索すると、誰も唇の下にストラップを持ってきていないようだった。また、この帽子(Custodian helmetという)は、主にイングランドとウェールズで使用されており、スコットランドと北アイルランドの警察では使われていないとのこと。

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Toasts in “The Beatles: Get Back” (part 2)

またトーストが出てきた。今回はマーマレードではなくバターか?朝食と昼食の間の軽食みたいな感じなのでしょうか。
なにしろ7時間以上あるドキュメンタリーなので、パート3にたどり着くのに何日もかかる。切っても切ってもビートルズ。すごく濃い。でもいつのまにか、オノ・ヨーコに目が釘付けになってしまうのを止められない。

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