作成者別アーカイブ: mikinoki

夢の中でこういう仕草を教えられた。頭の中の意識が手の平の上に取り出されて、目に見える形になるらしい。これはある惑星の挨拶のジェスチャーでもあるらしい。

Daguerréotypes by Agnès Varda (9)

アニエス・ヴァルダのドキュメンタリー『ダゲール街の人々』に出てくる肉屋の夫婦。色々な種類の肉が、羊歯のような葉を下にして白い大理石の台に並んでいる。最近あまり見なくなったけど、日本の町中に昔よくあった近所の魚屋のよう。氷と葉の上に新鮮な魚が並べてあって、吊るされた白熱電球の光が鱗に反射していた。魚屋は大分消えたけど、個人でやってる町の肉屋は結構残っていて、そういう店のコロッケとかお惣菜は大抵おいしい。こちらのパリの肉屋では客が「子羊のもも肉を1枚」とか「牛肉を2枚、ハラミの部位で頼む」と注文し、旦那が手際よく切り分ける。肉に対する客の知識が、一般の日本人客より深そう。旦那が肉を捌いて奥さんが会計担当なのは、うちの近所の肉屋と同じ。

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時間と空間の区別がつかない虚数時間とは?

Daguerréotypes by Agnès Varda (8)

アニエス・ヴァルダのドキュメンタリー『ダゲール街の人々』に出てくる奇術師、ミスタグ。インチキ魔法使いみたいな雰囲気を醸し出しながら、レトロな手品を次々に繰り出す。この奇術師も街から街に渡り歩くのかな、昔の移動遊園地のように。ある日突然街にやってくるカーニバル的な存在は、別の場所につながる入り口。翌日の朝には跡形もなく消える、奇怪な入り口。

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Daguerréotypes by Agnès Varda (7)

アニエス・ヴァルダのドキュメンタリー『ダゲール街の人々』に出てくる自動車教習所の教官。その日の実地教習が終わると、教習所の車を街中に路駐させてそのまま「ではまた次の月曜日に」とか言って教官と生徒がその場で別れるのが日本と違う。あと女性の生徒に後ろからコートを着させてあげるところとか。(まあ今は知らないけど)ところで左の人は何回も出てきたので誰だか分かるけど、右の人は誰だっけ?アジア系の宇宙人みたいな不思議な風貌の人。

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Dogra Magra (58) (a novel by Kyusaku Yumeno in 1935)

『ドグラ・マグラ』夢野久作(58)

―その顔を見ますと、私は思わず水を浴びせられたようにゾッとしました。お八代さんも慄え上ったらしく、無理に振り切って行こうとしますと、若旦那はスックリと立ち上って、縁側を降りかけていたお八代さんの襟髪を、うしろから引っ捉えましたが、そのまま仰向けに曳き倒して、お縁側から庭の上にズルズルと曳きずり卸すと、やはりニコニコと笑いながら、有り合う下駄を取り上げて、お八代さんの頭をサモ気持快さそうに打って打って打ち据えられました。お八代さんは見る見る土のように血の気がなくなって、頭髪がザンバラになって、顔中にダラダラと血を流して土の上に這いまわりながら死に声をあげましたが……それを見ますと私は生きた心が無くなって、ガクガクする膝頭を踏み締め踏み締め腰を抱えて此家へ帰りまして「お医者お医者」と妻に云いながら夜具を冠って慄えておりました。

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最近、時間とか宇宙をテーマにした超初心者向けの物理学の本を読んでいて、時々居眠りしながら分からないなりに読んでいると、人を乗せた馬(馬に乗った人)と滝のイメージが出てくる。

『ドグラ・マグラ』夢野久作(57)

お八代さんも眼をまん丸くしてうなずきながら聞いているようで御座いましたが、そのうちに若旦那はフイと口を噤んで、お八代さんが突きつけている巻物をジイッと見ていられたと思うとイキナリそれを引ったくって、懐中へ深く押込んでしまわれました。するとそれを又お八代さんは無理矢理に引ったくり返したので御座いましたが、あとから考えますと、これが又よくなかったようで……若旦那様は巻物を奪られると気抜けしたようになって、パックリと口を開いたまま、お八代さんの顔をギョロギョロと見ておられましたが、その顔付きの気味のわるかった事……流石のお八代さんも怖ろしさに、身を退いて、ソロソロと立ち上って出て行こうとしました。

Daguerréotypes by Agnès Varda (6)

アニエス・ヴァルダのドキュメンタリー『ダゲール街の人々』に出てくる食料品店の客。「今日は競馬で負けたよ」と言いながら、オレンジ500gとヴィシー水を買う。この頃のフランス映画を観ると、店の中で煙草を吸いながら買い物している人が結構いる。

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Perseid meteor shower

ペルセウス座流星群を見たくて夜中にちょっと外に出てみるが、マンションや駐車場の灯りが邪魔で星が良く見えない。遠くに行く気力もないので、その場で15分くらい頑張っていたら、3個ぐらい星が流れていった。早くて願い事を言う暇がない。星は何億年前の光が今見えているということだけど、流星は今の光だよね?と思い国立天文台のページに行ったら、「流星とは彗星が放出するチリの粒の集団が大気圏に飛び込んでくるもの」で、「地球が彗星の軌道を横切る日時は毎年決まっているので、特定の時期に特定の流星群が出現する」というようなことが書いてあった。

星についての解説を聞くのは素敵だ。『銀河鉄道の夜』の冒頭みたいで。(ただし、思い浮かべているのは猫のアニメ版の方)

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「ではみなさんは、そういうふうに川だと云われたり、乳の流れたあとだと云われたりしていたこのぼんやりと白いものがほんとうは何かご承知ですか。」先生は、黒板に吊つるした大きな黒い星座の図の、上から下へ白くけぶった銀河帯のようなところを指しながら、みんなに問をかけました。
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『ドグラ・マグラ』夢野久作(54)

するとお八代さんもうなずきまして、土蔵の戸前の処へまわって行きましたが、内側からどうかしてあると見えまして、土戸は微塵も動きません。すると、お八代さんは又うなずいて、すぐ横の母屋の腰板に引っかけてある一間半の梯子を自分で持って来て、土蔵の窓の下にソッと立てかけて、私に登って見よと手真似で云いつけましたが、その顔付きが又、尋常で御座いません。その上に、その窓を仰いで見ておりますと、何かチラチラ灯火がさしている模様で御座います。

Dogra Magra (53) (a novel by Kyusaku Yumeno in 1935)

『ドグラ・マグラ』夢野久作(53)

―するとその態度をジット見て御座った若旦那は、オモヨさんの肩に手をかけたまま中腰になって硝子雨戸越しにそこいらをジロジロと見まわして御座るようでしたが、やがて軒先の夕空を見上げながら、思い出したように白い歯を出して、ニッタリと笑われました。そうして赤い舌を出してペロペロと舌なめずりをさっしゃったようでしたが、その笑顔の青白くて気味の悪う御座いました事というものは、思わずゾッと致しました位で……ヘイ……けれども真逆、それがあのような事の起る前兆とは夢にも思い寄りませなんだ。ただ学問のある人はあのような奇妙な素振りをするものか……と思い思い忙しさに紛れて忘れておりましたような事で……ヘイ……。

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Dogra Magra (52) (a novel by Kyusaku Yumeno in 1935)

『ドグラ・マグラ』夢野久作(52)

―サア私は不思議でならなくなりました。若旦那が何を見て御座るのか、一つ聞いて見ようと思いますと、急いで岩角を降りました。そうしてワザと遠廻りをして、若旦那の前に出てヒョッコリ顔を合わせますと、若旦那は私が近寄りましたのに気もつかれぬ様子で、半開きの巻物を両手に持ったまま、西の方の真赤になった空を見て何かボンヤリと考えて御座るようで御座います。そこで私が咳払いを一つ致しまして「モシ若旦那」と声をかけますと、ビックリさっしゃった様子で、私の顔をツクヅク見ておいでになりましたが「おお、仙五郎か。どうしてここへ来た」と初めて気が附いたようにニッコリ笑われますと、裏向きにして持って御座った巻物を捲き納めながら、グルグルと紐で巻いてしまわれました。

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Dogra Magra (51) (a novel by Kyusaku Yumeno in 1935)

『ドグラ・マグラ』夢野久作(51)

―ところで又、そのあくる日のきょうは今も申します通り、若旦那様とオモヨさんの、お芽出度い日取りになっておりましたので、私共も一昨日から泊り込みで手伝いに参っておりました。オモヨさんも高島田に結うて、草色の振袖に赤襷がけで働いておりましたが、何に致せ容色はあの通り、御先祖の六美様の画像も及ばぬという、もっぱらの評判で御座いますし、それに気質がまことに柔和で、「綺倆千両、気質が千両、あとの千両は婿次第」と子守女が唄うている位で御座いました。

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Dogra Magra (50) (a novel by Kyusaku Yumeno in 1935)

『ドグラ・マグラ』夢野久作(50)

―若旦那様は、温柔しい、口数の尠い御仁で御座いました。直方からこちらへ御座って後というもの、いつも奥座敷で勉強ばっかりして御座ったようですが、雇人や近所の者にも権式を取らしゃらず、まことに評判がよろしゅう御座いました。それに今までは呉家の人と申しましても後家のお八代さんと十七になる娘のオモヨさんと二人切りで、家の中が何となく陰気で御座いましたが、一昨年の春から若旦那が御座らっしゃるようになると、妙なもので、家内がどことなく陽気になりまして、私共も働らき甲斐があるような気持が致して参りましたような訳で……ヘイ……。そのうちに、今年の春になりましてからは又、若旦那様が福岡の高等学校を一番の成績で卒業して、福岡の大学に又やはり一番で這入らっしゃると、そのお祝を兼ねて、若旦那とオモヨさんの祝言があるというような事で、呉さんのお家はもう、何とのう浮き上るようなあんばいで……ヘイ……。

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Daguerréotypes by Agnès Varda (5)

アニエス・ヴァルダのドキュメンタリー『ダゲール街の人々』に出てくるヘアドレッサー。食料品店の人と同じような青い作業服を着ている。店名は夫婦の名前である「ジャニーンとイブ」。出会った頃の奥さんは「長い茶色の髪が美しかった」そうです。理容師だけあって、やはり髪に注目している。

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