Dogra Magra (45) (a novel by Kyusaku Yumeno in 1935)

『ドグラ・マグラ』夢野久作(45)

―僕はそれから、奥の方にある狭い室で、木製のバンコ(九州地方の方言。腰掛の事)に腰かけさせられて、巡査部長や刑事から色々な事を訊かれました。けれども、頭が割れるように痛んでいましたのでどんな返事をしたかスッカリ忘れてしまいました。「嘘だろう嘘だろう」って何遍も云われましたから「嘘じゃない嘘じゃない」と云い張った事だけは記憶ていますけれど…………。

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