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Ticket to Ride (inspired by The Beatles song)

『涙の乗車券』
ビートルズの曲に着想を得て描くシリーズ30枚目。
これはサンフランシスコの中華街で見た光景を元にした。店の看板は、ビートルズの曲名にちなんだ名前をwikiで調べて中国語で書いてみた。合ってるかな。

你好再見酒家(ハローグッバイ酒家)
早安飯店(グッドモーニング飯店)
里格比粥店(リグビー粥店)
奇幻之旅行社(マジカルミステリー旅行社)

ビートルズは「披頭四樂隊」だそうです。中国語が読めなくても漢字でなんとなく意味を推測できて面白い。「ポール・マッカートニー」なんて漢字にするのが難しそうだけど、ちゃんと「保罗·麦卡特尼」と書いてある。

『ドグラ・マグラ』夢野久作(60)

―思いますればもう二た昔……イヤ……もう三十年ほどにもなりましょうか。まことに古い事で御座います。もはや御承知か存じませぬが彼の千世子という御婦人は、幼ない時から何事に依らず怜悧発明な上に、手先の仕事に冴えたお方で、中にも絵を描く事と、刺繍をする事が取分けてお上手だったそうで、まだお合羽さんに振袖のイタイケ盛りの頃から、この寺の本堂の片隅なぞにタッタ一人でチョコナンと座って、襖に描いてある四季の花模様や、欄間の天人の彫刻なぞを写して御座る姿を、よく見受けたもので御座います。その頃からもうそれはそれは可愛らしい、人形のような眼鼻立ちで御座いましてナ……。

『ドグラ・マグラ』夢野久作(59)

◆第三参考 野見山法倫氏談話
 ▼聴取日時 前同日午後三時頃
 ▼聴取場所 如月寺方丈に於て
 ▼同席者 野見山法倫氏(同寺の住職にして当時七十七歳。同年八月歿)余(W氏)=以上二人=

『ドグラ・マグラ』夢野久作(58)

◆第二参考 青黛山如月寺縁起(開山一行上人手記)

(中略)

かくて虹汀は六美女を伴ひて呉家に到り、家人と共に彼の乳母の亡骸を取り収め、自ら法事読経して固く他言を戒めつ。さて仏間に入りて人を遠ざけ、本尊弥勒仏の体中より彼の絵巻物を取り出し、畏敬礼拝を遂げつゝ披見するに、美人の五体の壊乱、膿滌せる様、只管に寒毛樹立するばかりなり。すなはち仏前に座定して精魂を鎮め、三昧に入る事十日余り、延宝二年十一月晦日の暁の一点といふに、忽然として眼を開きて曰く、凡夫の妄執を晴らすは念仏に若くは無し 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏と声高らかに詠誦する事三遍にして、件の絵巻物を傍の火炉中に投じ、一片の煙と化し了んぬ。

『ドグラ・マグラ』夢野久作(55)

―ヘイ。その時に見ました窓の中の光景は、一生涯忘れようとして忘れられません。そのもようを申しますと、土蔵の二階の片隅に積んでありました空叺で、板張りの真中に四角い寝床のようなものが作ってありまして、その上にオモヨさんの派手な寝巻きや、赤いゆもじが一パイに拡げて引っかぶせてあります。その上に、水の滴るような高島田に結うたオモヨさんの死骸が、丸裸体にして仰向けに寝かしてありまして、その前に、母屋の座敷に据えてありました古い経机が置いてあります。その左側には、お持仏様の真鍮の燭台が立って百匁蝋燭が一本ともれておりまして、右手には学校道具の絵の具や、筆みたようなものが並んでいるように思いましたが、細かい事はよく記憶えませぬ。そうしてそのまん中の若旦那様の前には、昨日石切場で見ました巻物が行儀よく長々と拡げてありました……ヘイ……それは間違い御座いませぬ。たしかに昨日見ました巻物で、端の金襴の模様や心棒(軸)の色に見覚えが御座います。何も書いてない、真白い紙ばかりで御座いましたようで……ヘイ……若旦那様はその巻物の前に向うむきに真直に座って、白絣の寝巻をキチンと着ておられたようで御座いますが、私が覗きますと、どうして気どられたものか静かにこちらをふり向いてニッコリと笑いながら「見てはいかん」という風に手を左右に振られました。

Dogra Magra (56) (a novel by Kyusaku Yumeno in 1935)

『ドグラ・マグラ』夢野久作(56)

お八代さんも眼をまん丸くしてうなずきながら聞いているようで御座いましたが、そのうちに若旦那はフイと口を噤んで、お八代さんが突きつけている巻物をジイッと見ていられたと思うとイキナリそれを引ったくって、懐中へ深く押込んでしまわれました。するとそれを又お八代さんは無理矢理に引ったくり返したので御座いましたが、あとから考えますと、これが又よくなかったようで……若旦那様は巻物を奪られると気抜けしたようになって、パックリと口を開いたまま、お八代さんの顔をギョロギョロと見ておられましたが、その顔付きの気味のわるかった事……流石のお八代さんも怖ろしさに、身を退いて、ソロソロと立ち上って出て行こうとしました。

自転車の影が長く伸びた構図が気に入って、こういうシリーズでスケッチブックに描こうと思ったけど後が続かない。自転車は良い。歩くよりも、地面に這いつくばってる感がなくて。

Spirit of a place

行ったことのない場所を自転車で通る。この一画(右ページ)は不思議な感じがした。木の向こうに異次元への入口があるような。裏手に回ると小さな丘の上に神社があった。村の鎮守として1700年に建てられたのが発祥という。さっきは、この場所の地霊のようなものを感じたのかもしれないな。

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cat and bird sitter

お友だちの家で、猫と文鳥のペットシッターをする。0.5秒ごとにせわしなく動く文鳥を描くのはムズカしい。1秒クロッキーになってしまう。

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Dogra Magra (54) (a novel by Kyusaku Yumeno in 1935)

『ドグラ・マグラ』夢野久作(54)

するとお八代さんもうなずきまして、土蔵の戸前の処へまわって行きましたが、内側からどうかしてあると見えまして、土戸は微塵も動きません。すると、お八代さんは又うなずいて、すぐ横の母屋の腰板に引っかけてある一間半の梯子を自分で持って来て、土蔵の窓の下にソッと立てかけて、私に登って見よと手真似で云いつけましたが、その顔付きが又、尋常で御座いません。その上に、その窓を仰いで見ておりますと、何かチラチラ灯火がさしている模様で御座います。

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ヴィクター・ボクリスのインタビュー集『ビート・パンクス』に載っているラモーンズの写真は、手前で倒れているディー・ディーが良い。

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夢の中でこういう仕草を教えられた。頭の中の意識が手の平の上に取り出されて、目に見える形になるらしい。これはある惑星の挨拶のジェスチャーでもあるらしい。

Daguerréotypes by Agnès Varda (9)

アニエス・ヴァルダのドキュメンタリー『ダゲール街の人々』に出てくる肉屋の夫婦。色々な種類の肉が、羊歯のような葉を下にして白い大理石の台に並んでいる。最近あまり見なくなったけど、日本の町中に昔よくあった近所の魚屋のよう。氷と葉の上に新鮮な魚が並べてあって、吊るされた白熱電球の光が鱗に反射していた。魚屋は大分消えたけど、個人でやってる町の肉屋は結構残っていて、そういう店のコロッケとかお惣菜は大抵おいしい。こちらのパリの肉屋では客が「子羊のもも肉を1枚」とか「牛肉を2枚、ハラミの部位で頼む」と注文し、旦那が手際よく切り分ける。肉に対する客の知識が、一般の日本人客より深そう。旦那が肉を捌いて奥さんが会計担当なのは、うちの近所の肉屋と同じ。

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時間と空間の区別がつかない虚数時間とは?

Daguerréotypes by Agnès Varda (8)

アニエス・ヴァルダのドキュメンタリー『ダゲール街の人々』に出てくる奇術師、ミスタグ。インチキ魔法使いみたいな雰囲気を醸し出しながら、レトロな手品を次々に繰り出す。この奇術師も街から街に渡り歩くのかな、昔の移動遊園地のように。ある日突然街にやってくるカーニバル的な存在は、別の場所につながる入り口。翌日の朝には跡形もなく消える、奇怪な入り口。

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