カテゴリー別アーカイブ: 未分類

Denver Union Station

この死海文書のような破れ方をしている紙は、デンバーの鉃道駅ユニオン・ステーションにあったダイナーのスケッチです。わら半紙に20年くらい前に描きました。デンバーに住んでいた時、夜、ユニオン・ステーションに行くのが好きで、たまにアムトラックが停まっていると、シカゴから来たんだろうか、次はカリフォルニアか…などと想像してわくわくしました。普段はひとけがなく、冬は十分に暖房が効いていないので、堅くて背もたれの高い木のベンチに座っていると底冷えがしてきました。片隅には、出発を待つ人たちが利用するダイナーのカウンターがあり、アムトラックの発着がある時以外は閉まっていました。駅もダイナーも1940年代からあまり変わっていなさそうでした。家に帰ってベッドに横になっていると、遠くからアムトラックの汽笛の音が聞こえてきて、その響き方にロッキー山脈のふもとの大平原を進んで行く旅情を感じました。線路と列車が唯一の人工物という孤独なロマンチックさ。ユニオン・ステーションの内装はその後改装されて、あの寂しい空気感は一掃されたようです。あの頃の駅の写真はなく、残っているのはボロボロのスケッチと記憶だけ。

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Migratory bird

ティム。22才で、長い褪せた色の金髪で、いつもやつれた顔をしていた。スティーブというゲイの中年男性の家によく出入りしていた。たぶんお金がないから居ただけで、ティム本人はゲイじゃなかったと思う。たまにスティーブの家に行くと、ティムはテレビでスプラッター映画を観ていて、切り刻まれたり血しぶきが出る場面とかになるとビーバス・アンド・バットヘッドみたいに笑った。春と夏はデンバーに住んで、冬が近付いたら西の方に行くと言った。アメリカには、こういう渡り鳥みたいな生活をする人たちが一定数いるようだった。しばらく見ないと思ったら、秋頃にセブンイレブンの前で、一人であぐらをかいて地面に座っていた。元気?とかなんとか挨拶して、タバコをくれと言われたので、数本残ったタバコが入ったパックをあげた。それが最後に見たティムだった。

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Steve’s birthday cake

デンバーのSnakepitというクラブで見たバースディケーキ。スティーブさんというちょっとギークな見た目の大学の数学の補助教員が、数人の友人たちとテーブル席にいるのを隅然見かけた。スティーブさんには秘かに心ときめかしていたので、おっと思って見ていたら、巨大なツンツンが突き立ててあるケーキをガールフレンドらしき人が取り出し、テーブルの上に置いた。その日はスティーブさんの誕生日らしく、それを見てみんなでおーっという感じで盛り上がっていた。ガールフレンドがケーキを切り分けると、そのツンツンがゆっくりと傾き、倒れていった。それが目に焼き付いています。

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The worst motel in Arizona

90年代の終わり頃。ラスベガスに向かって彼氏と二人で車で旅行中、アリゾナの小さな町で、絵に描いたように最低なモーテルに泊まった。一泊13ドルだった。インド人の女性から鍵を受け取り部屋に向かう途中、泊まり客ではなくて住んでいる感じの人たち数人とすれ違った。みんな、もちろん裕福そうではなく、なんとなくあきらめモードというか、つかれた様子の人たちだった。部屋に入ると、薄汚れたカーテンはボロボロで、キッチンのビニール張りの床は剥がれ、小さな冷凍庫の中は霜だらけでちゃんと閉まらなかった。蛍光灯の下、買ってきたテカテビールの6缶パックをキッチンテーブルの上に並べ、二人で生温いビールを飲んだ。真夜中にベッドに入ると、誰かが無言でドアをドンドン叩いた。怖いので開けない。ドンドンドン。銃で鍵を壊されたらどうしようかと怯えて息を潜めていた。翌朝、シャワーに入ると排水溝が詰まっていて、水が足首の位置まですぐに溜まった。そのうえ、フタのない排水溝の奥からゴキブリの死骸が浮いてきて、足元の周りをぷかぷか漂っていた。

チェックアウトして車に乗ろうとすると、ネイティブアメリカンの男性が来て、駅まで乗せてくれと頼んできた。3人で駅に向かう途中、財布の入ったバッグが男性のいる後部座席に置きっぱなしなことに不安になり、私が振り向いてバッグを取って手元に置くと、それを見た男性が言った。「インディアンは盗まない」

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San Francisco

97年頃、デンバーからサンフランシスコに3日間ほど旅行に行った。
ケーブルカーに乗っていたら、中華街にさしかかったところで信号待ちで止まった。どこからともなく軽快な音楽が聞こえてきて、どんどん音が大きくなってきたと思ったら、目の前の反対車線にもケーブルカーが止まった。数人がチューバとかギターとかを演奏していて、車内にぎゅうぎゅう詰めの普通の乗客らしき人たちが自然発生的に踊りまくっていた。それを見ていた中華レストランのおじさんも、それまで店の前でキャベツか何かをでっかい包丁で刻んでいたのだけど、いきなり音楽に合わせて踊り始めた。早い太極拳みたいな動きで包丁を振り回しながらダイナミックに踊っていて、周りの歩行者も笑って見ていた。そのうち信号が青になり、踊る乗客とバンドを乗せてケーブルカーは離れていった。5秒くらいの出来事だったかもしれないけど、妙に時間が引き延ばされた感じで、白昼夢を見たようだった。いかにもアメリカ的な出来事で、よくありそうな事ではあるけど、それでも何か不思議な余韻だった。

その同じ日の夕方。友人とカーディガンズのライブに行く前にコンビニに寄ったら、ブロンドのショートカット、赤いレザージャケットの華奢な女の人がいた。顔は良く見えなかったけど、3人ぐらいで英語ではない言葉をしゃべっていた。その一時間後ぐらいにライブに登場したボーカルの人は、コンビニで見た女の人と同じ格好をしていた。やっぱりあれはニーナ・パーションだったんだな。

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Denver Broncos players and ghosts go to pumpkin party

「デンバー・ブロンコスの選手とお化けたちが、かぼちゃパーティーに向かう」
(14×18cm、キャンバスにアクリル絵具)

アメリカの秋で好きなのは、本物の大きなかぼちゃをくり抜いて作ったランプが住宅街の玄関のポーチにちらほらと出現し、中に入れたロウソクがかぼちゃを焦がす甘い香りがしてくることです。
ユニフォームの79はネット検索でたまたま真っ先に目に入ってきた人で、その背番号を持つデンバー・ブロンコスの選手が誰かは知りません。

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Was it the smell of pickles or the smell of dead bodies?

「あれはピクルスのにおいだったのか、それとも死体のにおいだったのか」

コロラド州にある小さな小さな町。そこの墓地に行ったら近くのピクルス工場のピクルスのにおいがした。後日ある人が、それは死体のにおいだと言った。うーん、どっちなんだろう。

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