Dogra Magra (14) (a novel by Kyusaku Yumeno in 1935)


『ドグラ・マグラ』夢野久作(14)

……ところで正木先生は、それから丸八年の間、欧洲各地を巡遊して、墺、独、仏、三ヵ国の名誉ある学位を取られたのですが、そのうちに大正四年になって、コッソリと帰朝されますと、今度は宿所を定めずに漂浪生活を初められました。全国各地の精神病院を訪問したり、各地方の精神病者の血統に関する伝記、伝説、記録、系図等を探って、研究材料を集められるかたわら『キチガイ地獄外道祭文』と題する小冊子を、一般民衆に配布して廻られたのです」

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