Dogra Magra (51) (a novel by Kyusaku Yumeno in 1935)

『ドグラ・マグラ』夢野久作(51)

―ところで又、そのあくる日のきょうは今も申します通り、若旦那様とオモヨさんの、お芽出度い日取りになっておりましたので、私共も一昨日から泊り込みで手伝いに参っておりました。オモヨさんも高島田に結うて、草色の振袖に赤襷がけで働いておりましたが、何に致せ容色はあの通り、御先祖の六美様の画像も及ばぬという、もっぱらの評判で御座いますし、それに気質がまことに柔和で、「綺倆千両、気質が千両、あとの千両は婿次第」と子守女が唄うている位で御座いました。

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