Schwarzwälder Kirschtorte

「黒い森のサクランボケーキ」というものがあるのを初めて知った。フェルディナント・フォン・シーラッハの短編集『カールの降誕祭』の「パン屋の主人」という話に、黒い森のサクランボケーキを作るのが得意な主人公が出てくる。

「あのケーキの味はな、キルシュヴァッサーで決まるんだ。良質のキルシュヴァッサーを使わなくちゃいけない。色の濃い黒い森のサクランボだけを原料にしたやつだ。そのキルシュヴァッサーとサワーチェリージュース、このふたつが決め手さ。けちけちしちゃいけない。それが秘訣なんだよ」(酒寄進一/訳・東京創元社)

ドイツの黒い森地方(という地方があることも知らなかった)で採れたサクランボを使うそうだけど、「黒い森」という響きにグリム童話の魔法を感じるし、アメリカンチェリーが好きで、チェリー味だったら何でも一応惹かれるので、これはとても魅力的なケーキだと思う。2024年は、このケーキを食べたい。(実物はもちろんこの絵のようにケーキの上に木が生えているわけではないです)

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