Fishy street vendor

小学生の時、学校の校門前に、消しゴムを並べた机とおばさんが出現する時があった。消しゴムは当時「辞書消し」と呼ばれていたもので、ミニチュアの国語辞典に似せて作られた、紙ケース付きのものだった。あまり消えなくて、こするほど汚れるような使い物にならない消しゴムだった。おばさんの目的は消しゴムを売ることではなく、学習教材の注文をとることで、「辞書消し」はおまけだった。普通の小さい「辞書消し」もあれば、ジャンボサイズの「辞書消し」もあって、放課後に校門を出た小学生たちが辞書消しにつられて机に群がった。または無視して歩き去った。

今思い返すと、真正面の構図で「机」と「物売り」というのは、少し謎めいた光景というか、不思議な物を売る人、インチキ商売、狐か狸が化けた商人、数時間後にはいなくなる幻のような物売り、そういう「怪しい路上売り」を象徴する私の原風景のような感じがする。

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