『“美しい瞬間”を生きる』(向田麻衣/著)を読んでいて、この一文にときめいた。
「高校生のときに始めた遊びは、海外に行ったときに、美術館や、図書館、駅などに設置されている公衆電話の番号をメモし、日本に帰ってから夜な夜なかけてみるというものだった。これは大人になってからも続けている、秘密の遊び。」
私もこの遊びをしたい!と思った。これを読んで真っ先に思い付いたのは、ニューヨーク公共図書館の前の公衆電話にかけてみるということだった。なぜかは分からないけど、「秘密の遊び」という言葉に反応して、昔読んだ『クローディアの秘密』という児童文学を思い出したからかもしれない。女の子が弟と家出をして、メトロポリタン美術館に隠れ住み、ミケランジェロの彫刻のミステリーを解く、という話なんだけど、ニューヨークと本つながりでニューヨーク公共図書館。その図書館の前に公衆電話があるのかどうかは知らない。行ったことがないので。しかも、たしかニューヨークは何年か前に公衆電話を全て撤去したのではなかったっけ?(今検索したら、タイムズ・スクエアの近くにあった最後の電話ボックスを撤去、という2022年の記事が出てきた) なので、そこに電話をかけることはできないが、ニューヨーク公共図書館の“中”には電話ボックスがあるという。写真を見ると、ノワール映画に出てきそうな古い木製のブースで、トレンチコートの衿を立てた男が受話器を握り、正体不明の相手と取り引きしているみたいな感じ。ここに日本から夜な夜な電話してみたい(真夜中にかけると、向こうは午前中だ)。