Migratory bird

ティム。22才で、長い褪せた色の金髪で、いつもやつれた顔をしていた。ロバートというゲイの中年男性の家によく出入りしていた。たぶんお金がないから居ただけで、ティム本人はゲイじゃなかったと思う。たまにロバートの家に行くと、ティムはテレビでスプラッター映画を観ていて、切り刻まれたり血しぶきが出る場面とかになるとビーバス・アンド・バットヘッドみたいに笑った。春と夏はデンバーに住んで、冬が近付いたら西の方に行くと言った。アメリカには、こういう渡り鳥みたいな生活をする人たちが一定数いるようだった。しばらく見ないと思ったら、秋頃にセブンイレブンの前で、一人であぐらをかいて地面に座っていた。元気?とかなんとか挨拶して、タバコをくれと言われたので、数本残ったタバコが入ったパックをあげた。それが最後に見たティムだった。

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