『ドグラ・マグラ』夢野久作(71)
【字幕】 再び同年十月十九日(前の場面から約一箇月後)の解放治療場内の光景。
(中略)
その前に突立っている呉一郎も、最初の場面の通りに微笑を含んで、両手をうしろに廻したまま、老人の打ち振る鍬の上げ下しを一心に見守っているが、僅か一箇月ほど経過した間にスッカリ色が白くなって、肉が丸々と付いているのは、その間じゅう穴掘りの労働を中止して、自分の室……第七号室に閉じ籠っていたからであろう。
その背後から正木博士がニコニコしながら近付いて来て、やおら肩の上に手を置くと、呉一郎はハッとしたように振り返った。
(引用は青空文庫より)

